1 設問の確認
「上記14の事実を知ったCが甲社の株主として
A及びGに対し会社法に基づき責任追及等の訴えを提起する場合に、
A及びGの責任に関し、
Cの立場において考えられる主張及びその主張の当否について、
論じなさい」
2 上記14の事実
甲社が保証債務を履行したこと(800万円の弁済)。
甲社がGに求償したが、Gが応じなかったこと。
3 Aに対する責任追及等の訴え
(1)条文の確認
〔出題の趣旨〕
「会社法第847条第1項」(役員等…の責任を追及する訴え)
(2)責任の発生根拠と請求額
〔出題の趣旨〕
「甲社がGから保証料の支払いを受けないで
Gの丙銀行に対する借入金債務について連帯保証したことが、
G又はDに対する財産上の利益の供与(同法第120条第1項)
に該当するとすれば」
(G又はDに対する財産上の利益の供与に関する法律構成は
【司法試験】平成30年 民事系 第2問(会社法)設問2の(1)を出題の趣旨と採点実感から読み解く)
「①Aは、同条第4項及び会社法施行規則第21条第1号に基づき、
少なくとも、供与した利益の価額に相当する額である
60万円を支払う義務を負うと認めること」
「Aが支払義務を負う金額(①にあっては供与した利益の価額に相当する額)
…については、上記の…金額以外の額であるとする論理も考えられるところであり、
事案に即して説得的に論じられていれば、
必ずしも、上記の…金額でなければならないものではない」
「②甲社がGの丙銀行に対する借入金債務について連帯保証したことに関するAの行為は、
法令に違反し、又は善管注意義務に違反するため、
任務懈怠(同法第423条第1項)に該当し、
Aは、甲社に対し、少なくとも、保証債務の履行として丙銀行に弁済した
800万円を支払う義務を負うと認めること」
「Aが支払義務を負う金額(…②にあっては会社の損害額)
については、上記の…金額以外の額であるとする論理も考えられるところであり、
事案に即して説得的に論じられていれば、
必ずしも、上記の…金額でなければならないものではない」
〔採点実感〕
「取締役の供与した利益の価額に相当する額の支払義務(会社法第120条第4項)と
任務懈怠によって生じた損害の賠償責任(同法第423条1項)について、
当該支払義務又は当該賠償責任を負う金額も含め、
適切に区別して論ずるもの」は優秀又は良好に該当する答案。
「これらの責任を追及する訴えを責任追及等の訴えとして提起することができることを、
条文を引用しながら丁寧に論ずるもの」は優秀又は良好に該当する答案。
4 Gに対する責任追及等の訴え
(1)条文の確認
〔出題の趣旨〕
「会社法第847条第1項」
(会社法第120条第3項)
(2)責任の発生根拠と請求額
〔出題の趣旨〕
「Gが、『当該利益の供与を受けた者』に該当するのであれば、
同法120条第3項に基づき、
供与を受けた財産上の利益である60万円を
返還する義務を負うと認めることが考えられる」
「Gが返還義務を負う金額についても、同様に、
必ずしも、上記の金額でなければならないものではない」
〔採点実感〕
「Aの会社法第120条第4項に基づく
供与した利益の価額に相当する額の支払義務
又はGの同条第3項に基づく供与を受けた財産上の利益の返還義務
のいずれか一方のみを論ずるもの」は不良に該当する答案。
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